高齢者ヨガの新しい楽しみ方――触れて、呼吸して、笑う

新しい年の始まりに、真室川町教育委員会主催の「栄寿大学」での月一回のヨガクラスがスタートしました。栄寿大学とは、この町の高齢者を対象に、さまざまな文化活動を提供するカルチャースクールのような場です。私は移住後すぐにお声がけいただき、このクラスを担当させていただいています。

このクラスを通じて、普段はなかなかお会いできない町の方々と出会い、その温かい人柄に触れることができました。地域との新しいつながりが自然と生まれ、この場が私にとっても大切な時間になっています。

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高齢者向けのヨガは楽しさと元氣あふれる時間

「高齢者向けのヨガ」と聞くと、腰や膝の痛みの緩和や体力づくりをイメージする方も多いかもしれません。しかし、真室川町の皆さんはとても元氣で、ヨガを楽しむために集まっている方ばかりです。教室にはいつも笑い声が響き、明るくエネルギーに満ちた雰囲に包まれています。

そんな皆さんと迎えた今年最初のクラスでは、「三人組で行うワーク」を取り入れてみました。少し趣向を凝らし、いつもとは違う形での体験を楽しんでいただきました。

触れること、触れられることの心地よさ

ワークの第一段階では、三人一組になり、仰向けになった一人を他の二人がやさしくさすることから始めました。人に触れられるというのは、ただそれだけで安心感を生み出します。特に二人同時に触れられることで、手の温かさや重み、動きの違いを感じ取り、身体感覚がより繊細に育まれます。

この時間は、ただ触れられるだけでなく、「自分の体に起こるさまざまな感覚をじっくり味わう」時間でもあります。それは身体と心をつなぎ、自分自身の内側に意識を向ける機会となります。

「大きな木になる」呼吸でつながる瞑想体験

次に行ったのは、三人で背中合わせに座り呼吸瞑想をするワークです。それぞれのグループが「大きな木になる」イメージを持ち、呼吸を合わせて木が成長していく様子を感じてもらいました。

最初はバラバラだった呼吸が、次第に自然と調和していきます。そして、「木の一部である感覚」と「自分が木そのものである感覚」を交互に味わうことで、自分と他者の区別が少しずつ薄れていきます。

このワークは、一人では得られない「つながり」の感覚を体験させてくれます。背中越しに感じる他の人の存在、呼吸が自然に合うことで広がる一体感。それらは、副交感神経の腹側迷走神経を優位にさせ、身体だけでなく心にも大きな安らぎをもたらします。それは「自分」を手放し、自然と調和し、一体化する意識へのシフトです。

このような時間を持つことで、真の癒しが生まれます。それは単なる休息以上に、自分自身と他者、そして自然とのつながりを感じる体験なのです。

新しい年に寄せて―つながりの中で生まれる癒し

栄寿大学のヨガクラスは、笑い声にあふれながらも、こうした穏やかな時間を共有できる場です。

多くの方がこの雪深い真室川町で長年働き、暮らしてこられたことを思うと、身体に蓄積された疲れや緊張を少しでもほぐすお手伝いができればと願っています。

ヨガを通じて、地域の皆さんとつながりを深めながら、このクラスが心と体に癒しをもたらす大切な時間であり続けるよう、今年も工夫を重ねていきたいと思います。

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