ippon blade®(一本歯下駄)の創業者・小平天さんのFacebookを、ワタシはずっと読み続けていました。
メンタル面、フィジカル面、特にフィジカルな探求の記事は、自分ではできないような実験のレポートを読むような感覚で、楽しみにしていたのを覚えています。探求のレベルは全然違っても、自らの能力、力を、どうやったら最大限に引き出せるのか。そんなテーマがずっと根底にあるように氣づいていました。そしてそれは、ワタシが自分に対してもずっと持ち続けていたテーマと重なっていました。
身体の叡智を引き出すのにはヨガ的なこともいいと思う、といった内容の記事もあったりして、思わず「そうそう!」と頷いてしまったこともあります。
そして、彼の研究の総体ともいえるその下駄が発売されると聞いたとき、ワタシはためらいなく注文しました。今日はその下駄が、どうしてワタシのワークの3つ目のパーツになったかのお話です。
なお、この記事で語る効果や体感は、特別な設計の元に開発されたippon blade®についての話です。一般的な一本歯下駄(古武術訓練用・お祭り用など)とは設計思想が異なり、同じ体験が得られるとは限らないことを、あらかじめお伝えしておきます。
369(みろく)から始まった、初めての一本歯下駄
最初に手にしたのは369(みろく)という、1番歯の高いものでした。今でこそたくさんの種類のあるippon blade®シリーズですが、最初の発売は369からでした。
最初の感想は「思ったよりも乗れる」でした。ただし、氣を抜くと、こける(笑)。最初の最初は高さが氣になりましたが、乗っているうちにそれはあまり問題ではなくなりました。
何より驚いたのは、腰が自然に伸びることです。自然と背筋が伸びて身長が高くなったような感覚があり、上半身が軽やかに感じました。これは一本歯という不安定な上に乗ることで逆に下半身が安定せざるを得なくなり、結果的に上半身の力が自然に抜けるからです。
そして歩いたり、スキップしたりと、いつも普通にやっている動きをワークとして続けていくと、なんだかどんどん楽しくなっていきました。よくわからないけど、楽しい。ちょっと子供に戻るみたいな感じでした。この「理由がないけど楽しい」というのは後ほど少し詳しく書きますが、実は身体にとってとても大切なことなんです。
ワタシは元々、運動が嫌いな子供でした。体育の成績が3を超えたことがない。身体を動かすことにはいつも苦手意識と劣等感のようなものを持っていました。もちろんヨガを始めてからは、それらはほとんど解消されていましたが、そんな自分が不安定な一本歯下駄に乗ってスキップしている。それだけでもう、何かが起きていたのかもしれません。
「乗れている」が「整っている」の指標になる
乗っているうちに氣づいたことがあります。ippon blade®は、特別な設計の元に作られているので、一歩一歩がきちんと軸に乗らないと歩けません。逆に言えば、歩けるということは正しく軸に乗れている、ということなのです。
つまり乗るだけで整う。そして「乗れている」が「整っている」の指標になります。
ワタシはTREの学びの中で、大腰筋がカラダにとってとてもキーとなる大切な筋肉だということを知っていました。インナーマッスルの中でも特に、神経系と深く関わっている筋肉です。ippon bladeに「正しく軸に乗る」ということは、大腰筋をちゃんと使う準備ができているということ。なのでこれに乗れば大腰筋を刺激することにつながります。そのあとにTREをすればシェイクが出やすくなりますし、TREのあとに乗れば乗りやすくなる、ともいえます。そういう相互の関係が見えたとき、これはすごいマッチングではないかと思いました。
ヨガもTREも、ippon bladeも、それぞれ別の入り口からカラダに働きかけているように見えるけれど、深いところでは、同じ筋肉、同じ神経系に働きかけをしている。ワタシの中で繋がった瞬間でした。
バレエのポアント、少年のような笑顔
鳥取に住んでいた頃、創業者の天さんにお越しいただいて、移住仲間の女性とその小学生の姉妹を招いた体験会を開いたことがあります。
姉妹はバレエをやっていました。ワタシは「ポアント(つま先立ちで踊るときの状態)と同じ体感になりますよ」と説明しました。実際、ポアントしているときは大腰筋の軸に乗れているので、力んでいないんですよね。お母さんがその説明にすぐ興味を持ってくださって、姉妹もすぐに慣れて、走り出したりしていました。
別の体験会の時の話ですが、なかなかはしゃぐことのないはずの大人の男性たちが、結構な確率で少年のような笑顔になります。ちょっと強面で、学生時代にラグビーなどしていたような男性が、最初は子鹿のようにプルプルと立っていることがあります。でも数分もするとしっかりと立つことができて、さっきのお顔とは別人のようなニコニコ笑顔になる。ippon bladeに乗ると本来の自分というか、素の自分に戻ってしまうのかもしれないなと思います。
カラダが少しおぼつかなくなることで、生命力(身体の叡智)が前面に出てきて、頭の中の「ちゃんとしなきゃ」が後ろに退く。そんなふうにも見えます。
「楽しい」は、神経系のスイッチを切り替える
ヨガもTREも、ワタシ自身は「足りない」と思っていたわけではありません。ただ、ippon bladeに出会ったことで、これまでアプローチできなかった人たちに届けられるかもしれないという可能性を見出しました。
たとえば、先ほどの大人の男性たち。カラダはある程度動くから問題ないと思っているし、セルフメンテやセルフケアなんて自分には必要ない、と思っている人たち。そういう人たちに、カラダと遊ぶというようなワークを通して、自分のカラダに意識を向けるきっかけをお伝えできるかな、と思ったのです。もちろん女性にも、そういう方はたくさんいらっしゃいます。
またヨガも瞑想も、本来は苦行ではないのですが、なんとなく「我慢する」イメージを持つ方がいまだに多いのは確かです。TREは「リラックスのワーク」というイメージで届きます。そこにippon bladeが加わったことで、「楽しい」「遊び」という入り口が増えました。カラダとの関係性を構築するパーツに、遊びが加わったという感覚です。
そしてこの「楽しい」というのは、感覚としての楽しさだけでなく、神経的にもとても重要なことなんです。
ポリベーガル理論では、他者との繋がりをつくる腹側迷走神経を活性化させる条件のひとつとして「遊び」が挙げられています。動いている(交感神経が優位)けれど、ワタシは敵ではないですよ、と相手に伝わる(腹側迷走神経も同時に活性化している)。この、動きながら繋がっているという状態が、神経系にとって理想的なハイブリッドです。
ワタシは以前、ヨガダンスというワークも学びました。これも「楽しい」を通じて神経系を整えるとても有効なワークですが、なかなか今のところ、日本ではお披露目の機会がありません。ippon bladeは、ワタシの中で、ヨガダンスに代わるものとして入ってきたのではないかと思うのです。
実際、山形で暮らしていた頃、ippon bladeの生徒さんたちと一緒に近隣のウォーキング大会や、順位のつかないマラソン大会に出たこともあります。整えるためではなく、楽しむために、カラダを使う。そしてそれがそのまま、神経系のチューニングになっている。一石二鳥にも、三鳥にもなるのではないかと思っています。
3つが揃って、ようやく
意識的・意図的にカラダを動かすヨガ。無意識・自律的にカラダが動くTRE。そしてカラダのベースを整え、「遊び」のスイッチを入れるippon blade。
この3つが揃ったとき、ワタシの中でひとつの円が生まれたような感覚がありました。それぞれが別のワークというより、ひとつのカラダの違う面を見せてくれるツールボックス。それによって、自分という存在を多角的に、また多層の存在として理解できる、3つの鏡のような関係です。この3つは、ワタシのワークには欠かせない最強のツールとなりました。
よくある質問
Q. ippon blade®と一般的な一本歯下駄は同じものですか?
A. 異なります。ippon blade®は神経系・大腰筋への働きかけを意図して特別に設計された製品です。一般的な一本歯下駄(古武術訓練用・お祭り用など)とは設計思想が違うため、この記事で書いた体感が同じように得られるとは限りません。この記事の内容はippon blade®シリーズの話としてお読みください。
Q. ippon bladeは誰でも乗れるものですか?
A. 個人差はありますが、誰でも乗ることができます。最初は低い歯のものから始めれば、どなたでも安全にワークをすることができます。ワタシの生徒さんでは80代の方でも問題なく乗ることができています。ただ一番最初は、公式のインストラクターか公認の指導者からガイダンスを受けることをお勧めします。
Q. ヨガやTREをやっていない人でも、一本歯下駄から始めて大丈夫ですか?
A. もちろん大丈夫です。むしろ「楽しい」「遊び」という入り口から始めて、そこから身体に興味が出てきて他のワークに広がっていく方が、自然な流れかもしれません。
Q. 自宅でも練習できますか?
A. できます。ただし最初は安全な広い場所で、公式のインストラクターか公認指導者の指導を受けて始めるのが安心です。リトリートでは、ご希望に応じて3つのワークを組み合わせた個別プログラムを体験していただけます。
最後に
今月は、ワタシが大切にしているヨガについてや、これまで歩んできた道のりについても書いてきました。もしよければ、こちらの記事も合わせて読んでみてください。
ご興味のある方は、公式LINEに登録してみてください。リトリートやオンラインクラスの案内、季節の身体の話など、ブログには書ききれないことをお届けしています。
→ 公式LINEはこちら(@nxh0126p)



