20歳から30年。対人緊張と向き合い続けた人が、TREで取り戻した「細胞の喜び」

ボイジャータロットの勉強会で、毎月一度オンラインで顔を合わせる方々がいます。テルさんもその中のお一人です。

ワタシもテルさんも、受講生として学んでいる立場。リーディングの練習をしながら、それぞれが歩んできた道のりが少しずつ見えてくる、そんな会です。

テルさんはこれまで、本当にたくさんのことを学ばれてきた方でした。最初はシャイな控えめな方だなと思っていましたが、回を追うごとに、どれほどたくさんの時間を心の探求や内面のワークに費やしてきたのかが段々と開示されていきました。ただ、お話を伺う中で、身体からのアプローチにはあまり触れてこられてきてないのかなぁと感じていました。

それで、押しつけがましくならない程度に、TREのことをお伝えしてみました。すると興味を持ってくださって、ワタシが小学生向けに作った小冊子のお披露目ワークショップに参加してくださり、その流れでTREのグループセッションにもいらしてくださいました。

出会ってから、半年ほど経った頃のことです。

その後、テルさんは「個人セッションの方がいい」とお感じになり、グループから個人へと切り替わりました。今もセッションを継続されています。

目次

20歳より、ずっと前から——身体に刻まれていたもの

テルさんがリーディングの勉強会でご自身の過去に触れられることが何度かあったのですが、これを聞いた時にTREのセッションを受けるといいのではと思ったエピソードがあります。それは20歳で対人恐怖症が現れる、ずっとずっと前から、テルさんの身体にはあるパターンが刻まれていたのではないか、と思った話です。

テルさんは、双子の弟として生まれたそうです。お母さんのお腹の中にいた時、お兄さんの方が大きく育っていたというモノです。テルさんは、その脇で小さくなっていた——。

これは推測ですが、もしかしたらテルさんは、生まれてくるその前から「自分より、他者を優先する」という姿勢を、身体のいちばん深いところに刻んでいたのかもしれません。

そしてそれは、生まれた後の人生でもずっと続いていきました。家族の中で、お母さんを支える役割を、子どもの頃から自然と担ってこられたそうです。学校では学級委員長を何度も務め、社会に出てからも、職場で頼りにされ、信頼され、どんどん仕事が広がっていった。

それは見方によっては「責任感が強く、力のある人」の人生です。でも身体の側から見ると、「自分」よりも「他者の期待」に応え続ける時間が、ずっと積み重なっていたとも言えます。

そして20代の後半、ある日突然、身体が動かなくなってしまいました。

意識ではどうにもならなかった。

身体は、ずっと前から知らせていたのだと思います。テルさんが、自分自身を後回しにし続けていることを。

20代後半の身体の崩れは、終わりの始まりではなく、身体からの最初の本気のサインだったのではないかなぁと思うのです。それから、テルさんの長い長い探求の旅が始まりました。

30年の探求——たくさんのワークを試した先で

テルさんが対人恐怖症の自覚を持たれたのは、20歳頃でした。

人と接する時は常に恐れを感じていて、学校やレストランに行けず、電車やバスにも乗れない時期がありました。

その後の道のりは、本当に長いものです。

最初に試されたのは、自己暗示で緊張をゆるめる自律訓練法。人が少ない場面ではいくらか効果があったけれど、閉鎖された空間で人が多くなると、恐れの方が勝ってしまったそうです。

次にカウンセリングを受けるようになり、恐れを感じても少しずつ行動できるように変わっていきました。精神安定剤を服用された時期もあったけれど、テルさんには効かなかったらしく。漢方薬を試したり、整体で身体のコリをほぐしてもらったり——と。でも、なかなか望むほどには恐れは小さくならなかった。

そんな中で、テルさんに最も大きな変化をもたらしたのが、野生のイルカと一緒に泳ぐドルフィンスイムだったそうです。

ここで得た喜び&リラックス体験が、恐れが発動する場面でも心と体を随分楽にしてくれました。その効果は30年経った今でも継続しています。

30年経っても消えない体験——それがテルさんの中にずっと生きていることにも感動したし、そこにTREの体験が重なったとおっしゃってくださいました。これは、すごいことだ!とワタシ自身思ってしまいました。

ドルフィンスイムとTREの共通点——「細胞が喜ぶ」体験

テルさんは、TREについてこんな言葉を残してくださっています。

TREのエクササイズは、心や体の細胞たちが喜んでいるという意味においてドルフィンスイムと通じるところがあります。誰でもがすぐにチャレンジできるということで言えば、TREは最強のエクササイズかもしれません。

ドルフィンスイムと同等の効果——これは、ワタシにとって最上級の褒め言葉です。

細胞一つひとつの集合体がワタシたち自身であって、そこに立ち戻れた感覚のとき、根源的な「生きている喜び」が実感されるのだと思います。ワタシもヨガを実践してきて何度もそんな体感をしています。

実はワタシも、野生のイルカに一度だけ触れたことがあります。アイルランドにいた頃のこと。水温が低すぎて海には入れなかったけれど、岸辺までイルカが来てくれて、触らせてくれたんです。

変な比喩かもしれないけれど、濡れている馬みたいでした。

生命力みたいなものが、もう表面から溢れてる。そんな感じです。

テルさんのお話を読んで、その感触を久しぶりに思い出しました。あの時の手のひらに残った感覚と、TREのセッションで「身体が勝手に動き出す」あの感じは、どこか同じ場所に繋がっているような氣がします。

TREで起きていること——身体の知性に委ねるということ

ここで少し、TREというワークが何をしているのかを、ワタシの専門家としての視点から書いておきますね。

TREは、身体が本来持っている「振動(シェイク)」を使うワークです。意識的に身体を動かすのではなく、特定の姿勢を取ることで身体の方が勝手に揺れ始める。意識ではなく、身体の側が動かす場所を決めているんです。

これは、自分の癖を自分で直そうとする「意識的なアプローチ」とは正反対の働きかけ方になります。意識でアクセスできない領域——たとえばトラウマや、長年染みついた緊張のパターン——には、こちらの方がずっと届きやすいのです。

ヨガやストレッチが「自分で意図的に整える」ものだとしたら、TREは「身体の知性に委ねて、勝手に整えてもらう」もの。だからこそ、頑張りすぎてきた人ほどTREは効きやすいのではないかとワタシは密かに思っています。意識でなんとかしようとし続けてきた身体に、「もう、邪魔はしないから、自分で整っていいよ」と許可を出すような体験になるからです。

「在り方としてのヨガ」とは何か——意識を育てる、神経系を整える という記事もあわせて読んでいただくと、TREがなぜ「在り方」を変えていくのかが立体的に見えるかもしれません。

※精神的なお悩みを抱えている方は、専門医の診察を必ず受けてください。TREはそれらに代わる治療法ではありません。

テルさんの今——「他者からの期待を手放す」へ

テルさんは、TRE開始から半年が経った頃、こんな感想を寄せてくださいました。

対人緊張が小さくなってきていると実感しています。緊張しそうな場面では、その場で少し体をプルプル揺らします。するとリラックス状態を思い出し、緊張が解けやすくなりました。

そして面白いのは、こんな変化も起きていたことです。

若い頃の職場状況や人間関係等のストレスを感じていた頃の夢を睡眠時によく見るようになりました。過去の記憶も解放されているのだと思います。

身体が緩んでいくと、過去の記憶が浮かび上がってくることがあります。それはTREのセッション中や睡眠中などに起こります。これは、TREを継続されている方に現れる現象です。身体に閉じ込められた未完了の感情が消化されて昇華されていくプロセスなんです。

そしてつい先日のセッション後、テルさんからこんなメッセージをいただきました。

他者からの期待や他者への期待を手放し、自由を謳歌していきます。カラダとよく話をしてカラダの声を聴き、体感を持って気づきを落とし込めたらと思っています。

この言葉を読んだとき、ワタシは胸がいっぱいになりました。

胎内にいた頃から、ずっと脇で小さくなっていたテルさん。家族のために、お母さんのために、職場のために。「他者を優先する」という姿勢を、身体のいちばん深いところに刻んでこられた方が、今、ようやくそれを手放し始めている。

20歳から始まった対人緊張という長い長い旅。いえ、もしかしたら、それよりもずっと前——胎内から始まっていた長い長い物語。その先で、テルさんは今、「他者の期待」という重荷を自分から下ろし始めているのです。

恐れを克服するための旅から、自由を謳歌するための旅へ。同じ身体を持って、同じ人生を歩いているのに、見ている景色がまるで違う。

これが、身体から神経系が整っていくということなのだと思います。

よくある質問

Q. TREを始めて、対人緊張以外の身体症状にも変化は出ますか?

A. テルさんの場合、学生時代からの頭痛が「起こりにくくなった」とおっしゃっていました。30年来の頭痛が改善された方もいらっしゃいます。身体全体の緊張パターンに働きかけるワークなので、結果として様々な不調が和らぐことがあります。

Q. 何回くらい続ければ効果を感じられますか?

A. 個人差が大きいですが、テルさんは初回のグループセッションで「身体が勝手に振動する」面白さを体験され、個人セッションを重ねる中で半年ほど経った頃に「対人緊張が小さくなってきた」と実感されました。即効性のあるワークではなく、継続することで神経系が整っていくものとお考えください。

Q. すでにカウンセリングや服薬を続けています。TREを併用しても大丈夫ですか?

A. 主治医にご相談の上で進めてください。TREは医療行為ではなく、専門的な治療に代わるものではありません。あくまで身体からのアプローチで神経系を整えるエクササイズとしてご活用いただくのが安全です。

あなたにも、こんな緊張がありますか?

頭ではわかっているのに、身体が緩まない。

頑張ってきたのに、何かがずっと張り詰めている。

色々試してきたのに、本当の意味でリラックスできた感覚を知らない——

もし、そう感じている方がいらっしゃったら、テルさんの体験はきっと何かのヒントになるのではないかなと思います。

ワタシは、頭で考えて頑張ってきた人ほど、身体に委ねるTREが新しい扉になりうると感じています。意識や思考を一度脇に置いて、身体の知性に委ねる時間。それが、長く張り詰めて頑張ってきた神経系を、本来の場所へと自然に戻してくれるのです。

公式LINEでは、TREやヨガのこと、季節と身体の話、リトリートの先行情報などをお届けしています。

「自分の身体の声を、一度ちゃんと聞いてみたい」

そう思われた方は、よかったらLINEで繋がってくださいね。

公式ライン登録はこちら

※精神的なお悩みを抱えている方は、しっかり専門医の診察を受けてください。TREがそれらに代わるものではないことを、改めてお伝えしておきます。

よく読まれている関連記事はこちら

著者プロフィール

ヨガ指導者養成(Yoga AllianceE-RYT500)/TRE国際認定プロバイダー/ippon blade®公式インストラクター

2017年出版の書籍『感じるヨガで、』(※)は、「体の声を聞く」ヨガとして静かな反響を呼ぶ。現在は、オンライン・オフラインでポーズの完成にこだわらない「感じるヨガ」やTRE(トラウマ緊張開放エクササイズ)のワークショップを開催し、30代〜50代を中心に「自分を整えたい」と願う人々をサポートしている。(※)amazonのアフィリエイトリンクが開きます

stand.fmでは、季節の変化を感じるためのポイントを配信している。

予約後のフォローも安心!公式LINEへ

お問い合わせや質問、ご予約は公式LINEが便利です。登録はこちらから。
ヨガの智慧を日常生活に生かすためのヒントや、季節の移り変わりを楽しむためのメッセージ、イベント情報なども不定期でお届けします。

  • URLをコピーしました!
目次