「氣持ちよかったのに、そのあと急に、、」
「すごく氣持ちよかったんです。でも起き上がったら、なんだか氣分が悪くて、、」
「終わって数分したら、カラダが重すぎて、、、」
リラックスのワークのあと、こんな声を聞くことがあります。
ほとんどの方が交感神経優位の状態で過ごしているので、ワタシが神経系を整えるといって行うワークは、ほとんどが(全部ではありません)副交感神経が優位に働くようなものになります。大体の方は終わった後、「久しぶりにゆっくりしたー」「解けたー」と、温泉から出てきたような感想を話してくださいます。ただ中には、冒頭のような感想を持たれる方も少なくありません。
せっかくリラックスしよう、神経を整えようと思って来たのに、かえって調子が悪くなった??
そう感じると、真面目で頑張り屋さんほど「やり方が間違っていたのかな」「自分にはできないのでは」と疑い始めます。
それは失敗ではなく、「切り替え」の途中です
先にお伝えしておきます。
それは失敗ではないし、リラックスが向いていない(そんな人いませんから)という証拠でもありません。
むしろ、カラダがちゃんと「休むモード」へ切り替わろうとしていた、その途中の揺らぎなのです。
リラックスした後に、寒気やだるさが出るのはなぜ?
ワタシたちのカラダには、アクセル役の交感神経と、ブレーキ役の副交感神経があります。最初にもお話ししましたが、ふだん頑張っている人ほど、アクセルを踏みっぱなしで暮らしているはずです。このあたりは「力を抜けないのは、心が弱いからじゃない」に詳しく書いています。
ゆるむワークは、このブレーキ側が安全に作動するように働きかけていきます。たとえばヨガニドラーでは、高血圧の方を対象にした研究で、短い時間で血圧が下がり、副交感神経の働きが高まったという報告があります(Cureus掲載の研究)。
ただ、カラダの仕組み上、切り替わりにはどうやら順番があるようです。心拍を落とす神経の指令はほぼ一瞬で届くけれど、血管の締め具合や血流の調整は、もう少しゆっくり切り替わると考えられています。
ちょっと変なたとえかもしれませんが、ジェットコースターで登りきって、ストンと落ちる、あの瞬間。ちょっと氣持ち悪くないですか? カラダの中でも、あれに近いことが起きているのかもしれません。
医療の世界では、この切り替えが急に強く出たものを「迷走神経反射」と呼んでいます。聞いたことのある方もいらっしゃるかもしれませんね。ブレーキが一氣に効きすぎて、血の巡りが追いつかない状態、といえばイメージしやすいでしょうか。具体的な症状は、冷や汗、顔色が白くなる、吐き気、悪寒など。激しくなると倒れてしまうこともあります。ただ、そこまでいかなくても、その手前の小さな症状波、けっこう普通に起きるものです。
リラックスしている最中や直後に、寒気・吐き気・だるさ・ざわざわした不安が出ることがあります。これは、カラダの切り替えの途中で起きることがある反応です。カラダが「動くモード」から「休むモード」へ切り替わるとき、神経は素早く切り替わる一方で、血圧や血流の調整は少し遅れてついてくると考えられています。その時差のあいだに、ふらつきや寒気、胃のムカつきのような反応が出ることがある。深くゆるもうとしている人、実際に深くゆるめた人ほど起こりやすいのは、それだけ普段のお休みより先まで休めたから、とも言えそうです。
深く行けた人ほど、ざわつく
ここが、ワタシがいちばん伝えたいところです。
頑張って動いているのが当たり前の状態になっていると、お休みできそうだなという時に、無意識にその先へ行かないよう、手前で引き返していることがあります。これ本当に無意識なのでなかなか氣づけません。
たとえば、こんなことはありませんか?時間があるとついスマホに手が伸びる。または次の予定を思い出し、考え始める、など。
実際にちゃんと休めそうな日は、ほとんど何もしないか、何もできないか。
お休みは、何もしない状態でいればいいというものではないんです。ちゃんとカラダの栄養になるお休みの仕方があって、それが神経系を整える、ということ。
そういう場合、リトリートのように、時間がきちんと確保されていて、安全で、誰にも何も急かされない場所で、栄養になる本当のお休みへの一歩を、自然と越えてしまうことがあります。慣れないことに、人は怖さを感じるもの。だから、ざわつくのです。
でもそれは、いつもより半歩先まで行けたしるしなのかもしれません。
パーソナルセッションで、ガイド付きの瞑想をしていたときの話です。その方は、長いあいだ緊張が抜けない暮らしをしてこられた方でした。はじめの頃は、リラックスするとすぐに眠ってしまっていました。これもまるっきり悪いことではないのですが、リラックスした状態で起きていられないのは、本当に休むことを無意識で避けている、という見方もできます(この話は今回の話とは少しズレるので、詳しくは書きませんが)。
しばらくその状態が続きましたが、だんだんとリラックスしても覚醒したままでいられるようになりました。すると今度は、終わった後にダルくなる、寒気が少しする、という反応が出始めたのです。
通いのパーソナルセッションでは、リラックスの深度が深まるまでにある程度の時間が必要なのだと思います。リトリート合宿の場合は、それがすぐに起こる。これがワタシの実感です。
だからこそ、その揺らぎは、すぐに横になれる環境で、何が起こっているかを理解して声をかけてくれる人がそばにいる場所で迎えてほしいなと思うのです。ヒルナノーグは、そのための場所でもあります。
そんなときの過ごし方
ざわざわが来たら、内側に潜るのをいったんやめて、外側に戻ってきます。
目を開けて、部屋をゆっくり見渡す。
窓の外の木、天井の木目、何でもいいんです。
それから、足の裏が床に触れている感じ。手のひらで、ブランケットや畳の手ざわりを確かめる。
起き上がるのも急がなくていいです。横になったまま、あるいは横向きになって、少し待ってみましょう。そしてお水をひと口。立つときは、座る→膝をつく→立つ、と一つひとつ丁寧に。立ち上がって、ふらつかないことを確かめたら、その場で足踏みを。
カラダが「あ、ここは安全だった」と思い出すまで、数分かかることもあります。それで大丈夫。
無理をしないでほしいとき
ここだけは、注意してほしいことをはっきり書きますね。
症状が強い、毎回くり返す、しばらく休んでも長引く。意識が遠のく感じ、胸の痛み、おさまらない動悸がある。そんなときは、ワークを中止して医療機関を受診してください。低血圧や立ちくらみが起きやすい方、心臓の持病がある方、妊娠中の方は、無理をせず、主治医に相談したうえで取り組んでください。
ヨガや瞑想は、医療の代わりにはなりません。
Q&A
Q1:瞑想やヨガのあとに氣持ち悪くなるのは、よくあることですか?
A:珍しいことではありません。休むモードへの切り替えの時差で起きることがあると考えられています。ただし強い・くり返す・長引く場合は、医療機関を受診してください。
Q2:リラックスすると、逆に不安になるのはなぜ?
A:「リラクゼーション誘発性不安」として1980年代から研究で報告されている現象です。ゆるむこと自体に、カラダがまだ慣れていないだけかもしれません。
Q3:深呼吸をすると、だるくなったりクラっとしたりします。
A:呼吸を深くしようと頑張りすぎると、かえって乱れることがあります。回数を減らし、吐く息を少し長くするくらいの、控えめなところから始めるのがおすすめです。
Q4:リラックスすると、すぐ寝てしまいます。ダメですか?
A:ダメではありません。カラダが休息を必要としているサインでもあります。意識を保ったまま深く休む練習を重ねると、休み方の幅が広がっていきます。詳しくはヨガニドラーの記事に書いています。
Q5:続けていれば、この反応は軽くなりますか?
A:切り替えの幅は、経験とともに広がっていくと考えられています。一人で頑張るより、安心できる誰かと一緒に練習するほうが、カラダは早く慣れることがあります。「繊細すぎるから」と感じている方へのお話は、Substackの手紙「落ち着きは、借りていい」に書きました。
休むことに、少しずつ慣れていく場所
休むのが上手じゃないのは、性格とかではなく、休むという経験がまだ少ないだけだと思います。。
深くゆるんだとき、寒氣よりも「カラダを感じること自体が、なんだかこわい」と感じる方もいます。それは弱さではなく、それだけ懸命に自分を守ってきた証拠かもしれません。そのお話は、Substack「錨を下ろす休息術」の手紙に書きました。(Substackはこちら)。
長野県原村のリトリート「ヒルナノーグ」では、時間と安全をたっぷり用意して、カラダが休み方を思い出すのを待つプログラムを用意しています。途中でざわついても、隣に誰かがいる。それだけで、切り替えはずいぶん穏やかになるものです。
リトリートのご案内や、日々のカラダの話は、公式LINEでお届けしています。「こういう反応、私だけ?」というご質問だけでも、氣軽にメッセージくださいね。



