比べるのは悪いこと? 弟犬が来て、ルカの長所がはっきり見えた話

比べることの意味を愛犬ルカと弟犬イオから考えるヨガコラム

比べるのって、そんなにいけないことでしょうか?

「人と比べちゃダメ」とよく言われます。分かっているのに、つい比べてしまう。そして、できない自分をもう一度確かめて、落ち込んでしまう。そんな話を聞くたびに、そんなことしなくていいのになー、しちゃう氣持ちもわからないでもないけどね、って思っていました。

でも先週から、我が家に小さな出来事があって、比べることへの見方がちょっと変わりました。

そこで、これはちゃんと説明できるかもって思ったので、こうしてブログにまとめました。

目次

弟犬イオがやってきた

先週末、ルカに弟ができました。

名前はイオ、3か月の男の子です。ロットワイラーミックスとされていて、ラブも入っているのかな?という顔つき。多頭飼い崩壊の現場から保護された子なので、はっきりした犬種は分かりません。うちは保護犬だけを迎えると決めているので、こうしたご縁がつながりました。

イオは、とにかく元氣。預かりさんのところでは、大人の犬たちにもどんどん向かっていく子でした。

ルカは、ちゃんと分かってくれていた

イオが来て、まだ一週間も経っていません。それでも、大きな発見があったんです。

ルカって、こんなにちゃんと育ってくれていたんだー。(感動)

正直に書くと、これまでは「ルカ、言うことを聞いてくれないなー」とか、育て方が悪かったのかなーと思うこともありました。でもイオと並べてみたら、全然違う。ルカはワタシの言葉を、ちゃんと理解してくれていたんです。

それに氣づいたとき、ルカが今まで感じたこともないくらいに頼もしく見えてきて、誇らしい氣持ちにまでなりました。

比べる相手がいなかった頃

思い出してみると、ルカがうちに来たばかりの頃も、今のイオと同じような感じだったんですよね。

仔犬特有の元氣のいい「わからんチン」。小さくて力はまだないけど、制御不能の機関銃みたい。

でも当時のワタシにとって、ルカは初めてのワンコでした。比べる相手もいないし、経験もまるっきりありません。だから聞いた話と違うけど「これって大丈夫なの?」とよく不安になっていました。

洋犬と和犬の違いもあったかもしれません。ワタシのワンコの拙い知識はほとんど洋犬のことだったと思います。(ルカは多分和犬の雑種なので)

あの不安の正体は、もしかしたら「比べられないこと」「だからわからない」だったのかもしれません。

何を見るために比べるのか

比べることには、2つの種類があるように思います。ひとつは、どちらが上か下か、どちらが正しいか間違っているかなどを決める比べ方。もうひとつは、違いを知るための比べ方です。

前者は序列をつくって、悪い方、もしくは下になった側に「ダメ」というレッテルを貼ります。

それに比べて違いを知るための比べ方は、レッテルを貼りません。

ただ、それぞれの個の輪郭を浮かび上がらせるだけです。

そして比べることは、「これで大丈夫」という基準点もくれます。

基準がないと、自分がどこに立っているのかもわからないので、人は安心より不安を感じやすいのです。苦しくなってしまうのは、比べることそのものではなく、上下や善悪でしか比べられなくなっていることなのかもしれません。

ワタシはルカとイオを比べても、どちらかを「ダメな子」とは思っていません。

ルカは、こちらの意図を汲みとって、頑張って落ち着こうとしています。来たばかりの頃は、内弁慶の怖がりさんでした。なので今でも家族以外の人間は近づけさせないほど吠えたてますし、他のワンコに対しても、興味はあるけど、どのように仲良くなっていいか距離感がわからないという感じでここまで育ってしまいました。彼が今まで住んでいた場所は田舎すぎて、家族以外の人間や他のワンコに出会う体験がほとんどできなかったせいもあると思います。それに比べて、イオは怖いもの知らずで、相手が大きくても向かっていく子。

どちらも、ただ違うだけです。

それなのに、自分と誰かを比べるときだけは、なぜか上下、できた、できない、という比べ方になってしまいます。不思議ですよね。

最近は、運動会で順位をつけなかったり、通知表をなくしたりする学校もあると聞きます。比べることをそのまま取り上げてしまうのと、違いを知るための比べ方を手渡すのと、どちらが子どもたちの助けになるのかな、と考えてしまいます。

カラダはもともと、比べることで世界を知る

ここで、少しカラダの話をします。ヨガのクラスやワークのときに、ワタシがいつも使っていることです。

たとえば、温かい・冷たいが分かるのは、違う温度に触れたときです。

また右の肩が重いと氣づけるのは、左と比べられるから。

ヨガクラスの前後、TREのセッションでワークの前と後の感覚を言葉にしていただくのも、ippon bladeに乗る前と降りた後で立ち心地が変わるのに氣づけるのも、これは比べているからなんです。

比べることは、感じることの土台になります。基準点がないと、どれくらい進んだのかもわからないですよね。比べること自体は、決して悪いことではないのです。

ただ、上か下かで評価される場面や状況下では、ワタシたちの神経系には「危ない」というサインとして届きやすいと言われています。それは言い換えると敵か味方かわからない状況下ということで、戦闘態勢、交感神経がかなり優位な状態といえるからです。

肩が上がって、呼吸が浅くなる。誰かと比べている時ってこんな感じがしませんか?

だから上下の比べ方で辛くなってしまうのは、カラダが自分を守ろうとしている、自然な反応と言えるのです。

上下から、違いへ

誰かと比べてイライラしたり、落ち込んだりしたとき、そっと自分に聞いてみませんか?

「今、上下で見てた? それとも、違いを見てた?」

それだけで、比べた先に見えるものが少し変わります。

もうひとつの比べ方もあります。ワタシが子犬だった頃のルカと今のルカを比べて、その成長に氣づいたように、昨日の自分と今日の自分を比べること。ワタシはこれがとても好きなのですが、今日は昨日より少しは賢くなっていて、健やかな自分がいるって思いたい。

そこには、誰にもレッテルをつけられない比べ方があります。

貼られたレッテルは、貼りっぱなしにはならない

それでも、レッテルを貼られてしまうことはありますよね。誰かに貼られることもあれば、自分で自分に貼ってしまうことも。

実はワタシ自身、ルカにレッテルを貼っていました。「言うことを聞いてくれない子」。そして自分には「育て方が悪かったのかな」というレッテルです。

ところがイオが来た途端、そのレッテルはあっけなくはがれて、ルカは「頼もしい子」になりました。

イオが来る前の日と来た後の日で、ルカは何も変わっていないのに、です。

変わったのは、比べる相手と、ワタシの見え方だけ。そう考えると、レッテルというのは、貼られた側の本質ではなく、貼った側のその時の見え方なのだと思います。

そしてもうひとつ。全てのものは変化しています。

内弁慶の怖がりさんだったルカも、少しずつ変わってきました。今は「わからんチン」のイオも、きっと変わっていきます。

カラダも同じで、昨日と今日でまったく同じ状態の人は、誰もいません。セッションの中でも、何年も変わらないと思い込んでいたカラダの感覚が、あるときゆっくりと変化し始める瞬間に、ワタシは何度も立ち会ってきました。

だから、貼られたレッテルも、自分で貼ってしまったレッテルも、そんなに氣にしなくていいんです。

次の瞬間には、もう変わり始めているかもしれないのですから。

イオの本当の長所も、きっとこれから、もっと見えてくるはずです。ルカという比べる相手がいてくれますし、彼自身の成長もありますから(笑)

よくあるご質問

Q. 比べてしまう癖は、直したほうがいいですか?

A. 無理にやめなくて大丈夫だと思います。比べることは、カラダが世界を知るための自然な働きです。やめようとするより、上下ではなく違いを見るほうへ、比べ方を少しずつ変えていくほうが楽かもしれません。

Q. 子ども同士を比べるのは、よくないことですか?

A. 「どっちがえらいか」の比べ方は、子どもにレッテルを貼ってしまうことがあります。でも「お兄ちゃんはこう、弟はこう」と違いを見る比べ方は、それぞれの良さに氣づくきっかけになるかもしれません。

Q. 人から貼られた「ダメ」というレッテルを、ずっと引きずってしまいます。

A. レッテルは、貼った人のその瞬間の見え方です。比べる相手や状況が変われば、同じあなたでもまったく違って見えます。そして、あなた自身も毎日変化しています。貼られたままの自分でいる必要は、どこにもないと思います。

Q. SNSを見て落ち込んでしまいます。

A. 画面に映っているのは、相手のほんの一部。比べる材料としては、かなり偏っています。落ち込んだら一度画面を閉じて、足の裏の感覚や呼吸を感じてみるのはどうでしょう。比べる相手を、今ここの自分に戻すようにするといいと思います。

Q. 過去の自分と比べるのはアリですか?

A. とても素敵な比べ方だと思います。昨日より少し呼吸が深い、先月より肩が軽い。そういう小さな違いに氣づけること自体が、カラダとの信頼を育てていくように思います。

比べ方を変える練習は、頭で考えるより、カラダから始めるほうがやりやすいことがあります。

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著者プロフィール

ヨガ指導者養成(Yoga AllianceE-RYT500)/TRE国際認定アドバンスプロバイダー/ippon blade®公式インストラクター

2017年出版の書籍『感じるヨガで、』(※)は、「体の声を聞く」ヨガとして静かな反響を呼ぶ。現在は、オンライン・オフラインでポーズの完成にこだわらない「感じるヨガ」やTRE(トラウマ緊張解放エクササイズ)のワークショップを開催し、30代〜50代を中心に「自分を整えたい」と願う人々をサポートしている。(※)amazonのアフィリエイトリンクが開きます

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